リハトレーナーとは
高齢者を対象としたマシントレーニングは、介護予防の有効的な手段です。
しかし、トレーニングにおける最適な負荷の見極めは、介護スタッフ(機能訓練員)の評価に依存しているケースがほとんどです。
つまり、マシンの負荷の設定は、介護スタッフの熟練度に左右されると言っても過言ではありません。
介護予防自動筋力トレーニングシステム「リハトレーナー」は、東京都健康.寿医療センター研究所が考案した「包括的高齢者運動トレーニング理論」(CGTプログラム)をマシンに内蔵する事で利用者1人ひとりの身体能力に合わせた500g単位のきめ細やかな個別運動プログラムを自動設定します(レッグプレスは1kg単位)。したがって、利用者は無理なく効果的に筋力トレーニングを行うことができます。
運動データは、個別のデータベースに自動的に記録・保存されます、それらのデータを活用し適切なトレーニングができているかを判定する【スムース機能(%)】、利用開始時から現在までの体力変化をグラフ化する【筋力変容グラフ】、定期的に行う体力テストを示す【レーダーチャート】などリアルタイムの運動状況から効果判定までをデータで『見える化』します。
介護スタッフによる人為的ミスや身体的負担を大幅に軽減し最小限のスタッフで最大限の運動効果が期待できます。
“科学的介護”を実現した次世代トレーニングマシン、それがリハトレーナーです。
リハトレーナーストーリー
リハトレーナーの開発背景から今後の進化の過程までをご案内致します。
日本赤十字社総合福祉センター「レクロス広尾」、UR倶楽部デイサービス、リハビリ型イオンスマイル、社会福祉法人平成福祉会、
社会福祉法人一灯会、社会福祉法人Fig福祉会、ふくし百選デイサービス北陸電力グループ、株式会社ナリス化粧品等
全国約130施設で導入実績(2024年10月現在) ※詳細は導入実績をご覧下さい
体力測定機能
機能1 ファンクショナルリーチ測定(動的バランス)
レッグプレスを使ってファンクショナルリーチ測定が出来るようにしました。
利用者がレッグプレスのシートを前に押せば椅子が動いた分だけ自動的に距離を測定し記録します。
方法が一定なので人による測定位置の誤差を無くし、施設間の測定に共通性があり、データの比較ができます。
- レッグプレスの後方に立ち、シートの上部をつかんで測定を行います。
- シートを前に押すとカウントが更新されます。「決定」をタッチして1回目の測定を確定します。
- シートを後方に戻し、同様に2回目の測定を行います。
トレーナーはシートを押し、実施者がシートの上部をつかめる位置まで持っていきます。
足を動かさずにできるだけ前方へゆっくりシートを押します。トレーナーは最長地点でモニターの「決定」をタッチします。
(爪先立ちになっても可)
機能2 長座位体前屈測定(柔軟性)
ローイングを使って長座位体前屈測定が出来るようにしました。
ローイングのハンドルが前方に移動する距離を自動的に測定、記録します。
方法が一定なので人による測定位置の誤差を無くし、施設間の測定に共通性があり、データの比較が出来ます。
- 専用椅子に足を乗せ長座位姿勢を取りハンドルをつかんで測定を行います。
- ハンドルを前に押すとカウントが更新されます。「決定」をタッチして1回目の測定を確定します。
- ハンドルを後方に戻し、同様に2回目の測定を行います。
トレーナーはハンドルを実施者が掴める位置まで持っていきます。
ゆっくりと前屈し、まっすぐ前方へできるだけ遠くまで滑らせ(膝は曲げない事)、トレーナーがモニターの「決定」をタッチします。
機能3 膝伸展測定(筋力)
- レッグエクステンションで、膝伸展測定を行えます。
- 膝伸展測定は、1RMと相関があります。(下記論文参照)
論文紹介 北里大大学院医療系研究科論文 Hand-held dynamometerと1repetition maximumの関連性 - マシンに乗り〔コンディショニング〕で設定されたストロークと負荷で利き足で5回準備運動をします。
- 自動的に1プレート追加された負荷で1回運動(測定)します=膝伸展測定の開始
- 測定をクリアする度(膝が上がる度)に1プレートずつ自動的に負荷が追加されます。
- 限界負荷(膝が上がらなくなった時点)で「終了」をタッチします=膝伸展測定の終了
- 膝伸展測定結果(最大挙上量)が表示されます。
運動効果(エビデンス)について
調査研究の目的・概要
包括的高齢者運動トレーニング(Comprehensive Geriatric Traning,GCT)の介護予防事業として効果を検討するために、介護老人保健施設のデイケア利用者と 一部入所者を対象に、CGTを行う「CGT群」と従来の機能トレーニングを続ける「通常群」の2群に無作為に分け3ヶ月の介入効果を調査。
対象者
歩行が可能で週2回以上トレーニングを継続できる人の中から、同意が得られ健康上問題のない65歳以上の高齢者42名(男性9名、女性33名、平均年齢82.2±6.67際)を対称とした。 対象者を無作為に「CGT群」(20名)、「通常トレーニング群」(22名)とした。
通常トレーニング群(22名) | CGT群(20名) | |
なし | 3 | 0 |
要支援 | 3 | 2 |
要介護1 | 10 | 13 |
要介護2 | 3 | 5 |
要介護3 | 3 | 0 |
主な調査項目
体力、日常生活活動の評価指標として以下の項目を調査。
膝伸展筋力、股屈曲筋力、開眼片足立ち時間、閉眼片足立ち時間、長座位体前屈、ファンクショナルリーチ、Timed up & go test、最大歩行速度(10m)、普通歩行速度(10m)、Barthel Index
CGTの実施概要
トレーニングは週2回、3ヶ月を1単位とし、1単位を4期に区分。
第1期:教育導入期(4回)
第2期:予備筋力トレーニング期(6回)
第3期:筋力強化期(8回)
第4期:機能的トレーニング期(8回)
トレーニングには理学療法士と運動指導士があたった。
結果・考察
CGT群は20名のうち16名がプログラムを完了。通常トレーニング群は22名のうち17名が最終評価を受けた。脱落の理由は、転居、入院などによるものであり 受け入れやすいプログラムであることがわかった。
CGT群は統計学的に筋力(P<01)、体力評価(P<.01)ともに有意な改善を認めた。一方、通常トレーニング群では体力評価の多くの項目で有意な低下(P6<.01)が見られた。
Barthel Indexで評価した日常生活活動は、CGT群の優位な改善効果が認められた。
運動結果について
改善・低下項目のまとめ
通常トレーニング群 | CGT群 | |
---|---|---|
膝伸展筋力 | – | 改善 |
股屈曲筋力 | 低下 | 改善 |
開眼片足立ち時間 | – | – |
閉眼片足立ち時間 | – | 改善 |
長座位体前屈 | 低下 | 改善 |
ファンクショナルリーチ | – | 改善 |
Timed up & go test | 低下 | 改善 |
最大歩行速度(10m) | 低下 | – |
普通歩行速度(10m) | 低下 | – |
Barthel Index(ADL) | – | 改善 |
確かな効果が認められた |
文献:平成12年度厚生労働省老人保健健康推進等事業
「介護予防としての高負荷筋力増強訓練の応用に関する調査事業」報告書. 2001
効果判定の要素(レーダーチャート印刷まで)
握力 | 平均値70~74歳男性:36.2kg/女性:22.8kg |
---|---|
歩行能力(最大歩行速度) | 5m歩行能力テスト |
静的バランス(ファンクショナルリーチテスト) | 立位においてどれだけ重心を支持基底面の中心から離せるかを検査するバランス評価テスト |
開眼片足立ち | 壁から50cm程度離れて壁を向いて素足で立ち、両目を開けて両手を楽に下げ、床に着けている「支持足」がずれるか、支持足以外の体の一部が床に触れるまでの時間を最大1分まで測る。 |
長座位体前屈 | 床に膝を伸ばして座った状態から上体(上半身)を前にできるだけ曲げる大きさの柔軟評価 |
TimeUp&Go(バランス) | 椅子に座った状態から立ち上がり3mを通常の速度で歩き、ターンして戻って来て再び座るまでの時間 |
最大屈伸展筋力 | 座位姿勢から腰部を固定した状態で、足の伸展動作を全力で行なった場合の筋力評価 |
体力測定方法
2大特許による新たな時代へ進化するリハトレーナー
1.定量性のある自動負荷変更機能
負荷をパラメータとした動作測定や1RM測定などが容易にできる
2.時間分割リアルタイム運動モニター
今まで出来なかった動作測定ができる
エンコーダデータ/加速度データ解析
~リハトレーナーを使用しての実測解析~
目的運動動作
- スムースな動き
- 動作距離を伸ばす
- T1、T2の対称性
- 負荷を徐々に増量
- 動作時間T1、T2を早くする
1.加速度データの考察
(1)スムースなデータ例
エンコーダ 1ストロークのデータ
「計算加速度」上記データから計算で求めた加速度データ
加速度データに突出したデータが存在しないため、ほぼ一定の速度で運動できています。
「参考」エントロピーを計算すると6.22511335680416になります。
2)ギクシャクなデータ例
エンコーダ 1ストロークのデータ
「計算加速度」 上記データから計算で求めた加速度データ
加速度データに突出したデータが存在し、一定の速度で運動できていません。
「参考」エントロピーを計算すると6.30695149395242となり、全ページのスムースデータと比較してギクシャクしていると考えられます。
2.エンコーダデータの考察
(1)スムースな例
- ストロークと戻しで、ほぼ8秒の運動になってしまいます。
- ストロークと、戻しの時間がほぼ均等になっています。(トップを中心に均等)
- 全体としてスムースな運動ができています。
(2)ギクシャクな例
- 運動時間はほぼ8秒で運動できています。
- 運動途中にストロークがもどるデータがあり、スムースに運動できていません。
(3)ストロークと戻りのバランスが悪い例
- ストロークがゆっくりで、戻りが早くなっているためギクシャクな運動と考えられます。
- 逆にストロークが早くて、戻りがゆっくりの場合もギクシャクな運動と考えられます。
(4)運動時間が速すぎる例
- 運動時間が大幅に速すぎると、CGTの運動効果が得られません。
- ゆっくり運動できない場合は負荷が重すぎるか、ゆっくり運動するとギクシャクしてしまうことが考えられます。
「アドバイスなどの表示に利用可能」
(5)負荷を変更することによりストローク量の変化例(10kg6回、15kg9回、20kg10回)
- 負荷を増やすことにより、ストローク量が大幅に減少する場合は変更後の負荷が合っていない(スムースではない)と考えられます。
「最適負荷の判断に利用可能」 - 負荷を変更してもストローク量が変化しない場合は、変更後の負荷でもスムースに運動できていると考えられます。
(6)同じ負荷の運動でストローク量が変化する例
- 同じ負荷で運動中にストローク量が減少を続ける場合は、負荷が合っていない(スムースではない)と考えられます。
「最適負荷の判断に利用可能」
同じ負荷の運動中にストローク量がバラバラな場合は、ギクシャクした運動だと考えられます。
3.まとめ
エントロピーを求めない場合でも、エンコーダと加速度データを利用して運動の評価などが可能だと考えます。
- 運動データのスムース/ギクシャクの判定
- 最適負荷の判断に利用
- 運動に対してのメッセージ(アドバイスなど)を表示させるなど
エンコーダデータからの考察でギクシャクな運動だと考えられる場合でも、エントロピーの結果がギクシャクなデータとして出るとは限りません。
エンコーダデータから運動の評価を行う場合は、アルゴリズムを新規に考える必要があります。(波形処理として)
間接のそれぞれの角度をキャリブレーションしておき、波形処理と組み合わせると、関節の疾患の位置情報が得られることも考えられます。
共同研究から生まれたスムース判定機能
2011年度東京都老人総合研究所との共同研究による成果として、波形処理から負荷見極め時に於ける利用者への運動後の負荷アンケート聞き取りを、予めコンピューターからバックアップデーターを使用し運動判定は「これです」とのメッセージを表示するようにしました。
利用者の主観的判断と客観的判定との併用が出来るようにしました。
☆従来、人の主観的感じで判断していた運動状況を測定データの波形処理アルゴリズムで行い表示の中で「スムース度(%)」として表示します。
波形処理により適切に運動できているかを%で判定
例)10回×1Setの運動後の%表示
判定結果(%)データは個人フォルダーに記録され次回利用時のプログラムに参考にできます。
論文紹介
- 第47回日本理学療法学術大会
論文:筋力増強トレーニング最適負荷見極めにおける、加速度時系列スペクトルのエン トロピーの有用性の検討 - 2012年理学療法科学学会
論文:地域在住虚弱高齢者に対する筋力増強トレーニングの最適負荷見極めにおける,加速度時系列スペクトル
のエントロピーの有用性の検討
☆☆本論文で小島基永、大渕修一先生が【2012年度理学療法科学優秀論文賞】を受賞されました☆☆ - 第10回日本予防理学療法学会学術大会
論文:加速度時系列スペクトルのエントロピーを用いた動作分析―トレーニングマシンへの実装を目指して―
評価概要
リハトレーナーの製品評価コメント
東京都老人総合研究所「福祉と生活ケア研究チーム」大渕修一研究副部長から製品評価のコメントを頂きました。
「この機器は、歴史的比較方法※で通常のトレーニングを上回る効果がありました。
(※これまでのトレーニング効果と新しい機器でのトレーニング効果を比較するものです。無作為化比較対照試験では無いので、その他の要因によって効果が高くなった可能性もあります。)
その理由として、貴社の機器はCGTプロトコルに正確に準拠しているためと考えられました。
新規のデイサービスなど、職員教育が難しい場合に、それを補う機器として有効で有ると考えられます。
エントロピーの方は、可動域とエントロピーを使った指数を1セット毎(通常10回)に表示する事ができれば、トレーナーの支援につながると考えられました。
さらに、技術的に可能であれば、逐次エントロピーを表示する(ウエーブレット変換などを使いながら)事ができれば、バイオフィードバックとして使えるのではないかと考えられます。」
◆この研究は東京都中小企業振興公社のご紹介で東京都老人総合研究所との共同研究として実施しました。
東京都老人総合研究所
福祉と生活ケア研究チーム
研究副部長
大渕修一
Shuichi P Obuchi, PT, PhD
Tokyo Metropolitan Institute of Gerontology
35-2 Sakae,-cho, Itabashi-Ku, Tokyo 173-0015, Japan
2015年東京都知事がリハトレーナーにご試乗されました
メーカであるシステムインスツルメンツ株式会社に舛添要一東京都知事が工場視察の為ご来社いただいた際、リハトレーナーにご試乗いただきました。
2015年1月30日付 読売新聞記事
2014年八王子市中小企業新商品開発認定制度に認定
(主催:東京都八王子市)
八王子市中小企業新商品開発認定制度とは:
市内中小企業の新規性の高い優れた新商品の普及を目指し、市が定める基準を満たす新商品を生産する中小企業(及びその新商品)を市が認定することにより、販路開拓を支援します。
2013年勇気ある経営対象「特別賞」受賞
(主催:東京商工会議所)
革新的な技術を開発し創造性にあふれる企業(製品)を顕彰する「勇気ある経営大賞「特別賞」を受賞致しました。
・応募者数:約140社
・授賞式:ホテルニューオータニ
2012年ベンチャー技術大賞「特別賞」受賞
(主催:東京都中小企業振興公社)
・応募者数:120社
・授賞式:産業交流展2012会場